。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
親鸞会は、親鸞聖人の教えを正確に一人でも多くの方に
お伝えするための集まりです。
「親鸞聖人といえば歎異抄」といわれるほど歎異抄は有名ですが、
「歎異抄に魅せられた人々」と題して連載しています。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。






花岡大学　（はなおかだいがく1909年 - 1988年）は、
童話作家・小説家・児童文学作家であり、京都女子大学名誉教授でもありました。

児童文学作家としては宮沢賢治、小川未明（みめい）と並び称されるほど。

第二次大戦後、次々に作品を発表し、
1960年に短編集『かたすみの満月』で小川未明文学賞奨励賞、
翌1961年に『ゆうやけ学校』で小学館文学賞を受賞しました。

司馬遼太郎は新聞記者時代から花岡大学と交友があり、エッセイ等で花岡大学の
文学についてたびたび語っており、次のような賛辞の言葉もあります。

「花岡大学氏は、大和の吉野川のほとりで、半世紀以上も児童文学のきらびやかな
灯をかかげ続けた人である。
子供の文学ということで、この人ほど純粋に考えてきた人はめずらしいといっていい。
子供の感情世界を透明にする氏の芸術のなにごとかが、この絵本を見ると、いきいき
と動いていることにおどろかされる」（司馬遼太郎）

そんな花岡大学は次のようなことを書いています。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

現代人の精神風土は「砂漠化」しているといわれている。
つまり、その精神が「うるおい」を失って「かさかさ」に乾き切り、
ちょうど砂漠の砂のようにおたがいに「つながり」を失ってしまい、
「ばらばら」に孤立化してしまっているということである。
そのために今の世の中は、そのあるべき姿がこわれてしまい、
とくに人間関係は氷のように冷たくなって、ギスギスした陰鬱な
不快音をたてつづけている。
その状況を混迷というのだ。（中略）

冷たい世の中を、あたたかい世の中にしたいということは、万人の悲願
といってまちがいない。
もちろん私もそれを切望している。
それならどうすればいいのかといえば（中略）私たちめいめいの心に
「仏教精神」を持ち込むよりほかはないと思っている。

仏教はきわめて深い思想であり、その精神を一言でいうことはむつかしい
ことではあるが、あえてこれを一言に要約していえば「捨身の心」だと
いっていいのではないか。（中略）

「捨身の心」とは、そのまま「慈悲の心」だといってよい。
経典にも「仏心とは大慈悲これなり」と出ているように「慈悲の心」とは、
一切衆生を平等無差別に救わずにはおかないという末通った深い愛情ひと
すじの「仏の心」である。

なるほど、それは至純至高な崇高な愛情であるにちがいないが、しかし
貪（とん・欲の心）瞋（じん・怒りの心）痴（ち・愚痴の心）という三毒の
煩悩にがんじがらめになっている生身の人間には、そんな心など手のとどか
ないはるかな美しさではないかと、みずからの心に問うてみたとき、ただちに
そう思わざるを得ないであろう。

だがそこのところで、わたしは絶望に陥ってはならないと思うのである。
何故かということをあきらかにする意味で、親鸞に登場してもらう。（中略）

右翼左翼の評論家を問わず言葉をきわめて（親鸞聖人に）讃美をおしまないのは、
現代人の心に異様な衝撃を与えるその卓越した思想である。

かつてある雑誌が

「あなたが絶海の孤島に流罪になるとして、一冊の本の持参を許されたとき、
どんな本を選ぶか」

といったアンケートを求めたのに対して多方面にわたる解答者の半数以上が
『歎異抄』をあげているのを見て驚いたことがある。

この書は直接彼（親鸞聖人）が書いたものではなく、親鸞の語録を弟子が
忠実に筆写したものであるとはいえ、意表をつく短い特異な表現の中に
あますところなく燃ゆるがごとき彼の思想が打ち込まれている。
このアンケートによっても容易に断定してまちがいないように、現代人の心に
じかに肉迫するすばらしい魅力を持った稀有の書だといってよい。

すくなくとも「真実に生きる道」を求めようとする人なら、
わたしはまず何をおいても『歎異抄』を読んでもらいたいと思う。

「河出人物読本・親鸞」

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

優しい心根をもった花岡大学は、砂漠化してしまった心を潤（うるお）すのは、
『慈悲の心』しかない、と言います。
「しかし、煩悩一杯の私たちが、『慈悲の心』を手にいれることができるのか？」
との問いには「絶望してはならない。その答えは親鸞の教えにある」
と光を親鸞聖人に見いだしているのです。

「真実に生きる道」を求めようとする人なら、
まず何をおいても『歎異抄』を読んでもらいたい」

花岡大学の熱い心が伝わってくるようです。

 

関連記事:

None Found