2009/09/02
三木清(3)《歎異抄に魅せられた人々》
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親鸞会は、親鸞聖人の教えを正確に一人でも多くの方に
お伝えするための集まりです。
「親鸞聖人といえば歎異抄」といわれるほど歎異抄は有名ですが、
「歎異抄に魅せられた人々」と題して連載しています。
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日本の三大哲学者の1人に数えられ、「岩波新書」の立ち上げにも寄与した三木清。
前回紹介しましたが、高等学校時代『歎異抄』に深い感銘を受け、
キリスト教よりも、西洋哲学よりも、禅宗よりも、浄土真宗・親鸞聖人の教え
に最も心惹かれたのでした。
その三木清について、英文学者であり、文芸評論家の本多顕彰(ほんだあきら)氏が
『歎異抄入門』の中で、次のように記しています。
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「三木清の奥さんが亡くなった日の夕方お悔やみに行くと、うす暗い仏間の仏壇の
まえでお経をあげている坊さんの後ろに西田幾多郎博士と三木清が並んで端座
していた。
西田博士(西田幾多郎)は『善の研究』の中で歎異抄を感銘深く語っており、
博士の影響を受けた倉田百三が親鸞を題材にして『出家とその弟子』を書いている
くらいだから、(西田幾多郎)博士が仏壇のまえにすわったにしてもふしぎはない
かもしれないが、あの夕には、それすら私には奇異に感じられた。
三木清の心情にいたっては、私はまったく量りかねたのである。
三木清ともあろうものが仏壇のまえにすわって手を合わせるなんて、いったい
どういう了見なのだろう、奥さんが死んでセンチメンタルになったのだろうか、
それともお芝居であろうか。
いや、それにしては、彼の表情は真剣すぎた。彼の表情は長いあいだ私にはナゾで
あった。
それからずっと後に、彼は、何の前置きも、何の説明もなしに、
『ぼくは親鸞の信仰によって死ぬだろう』と言った。
私はほんとうにびっくりした。
合理主義の理論家三木が、私の抵抗しつづけてきた、あの地獄極楽の浄土真宗の
信仰によって死ぬなんて!」
「三木清や戸坂潤が獄死したことを配給所にあった古新聞によって知った。
私には、獄中で念仏をとなえながら息を引きとる三木清の姿は想像しにくかった。
しかし、三木清は、たしかに親鸞の信仰によって死んだ。
彼は未完ではあるが、彼らしい見事な『親鸞』を書きのこして逝ったのである」
(本多顕彰『歎異抄入門』)
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歴史研究家の古田武彦(ふるた たけひこ、1926年 - )は、このことを
『わたしひとりの親鸞』という本に、
「戦後の親鸞探究は、牢獄の中からはじまった」
と記しています。
つづく
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