2009/09/03

三木清(4)《歎異抄に魅せられた人々》

『教行信証』は思索(しさく)と体験とが渾然(こんぜん)として一体をなした
稀有(けう)の書である。
それはその根柢に深く抒情(じょじょう)を湛(たた)えた芸術作品でさえある。
実に親鸞のどの著述に接しても我々を先ず打つものは
その抒情の不思議な魅力であり、そしてこれは彼の豊かな体験の深みから
溢(あふ)れ出たものにほかならない。

しかしながら、親鸞の宗教をたんに「体験の宗教」と考えるのは誤りである。
宗教をたんに体験のことと考えることは、宗教を主観化してしまうことである。
宗教はたんなる体験の問題ではなく、真理の問題である。

(三木清『親鸞』)

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