2009/02/13
一人暮らしも寂しくない
北陸 東野よし子さん
「仏法が大地にしみ込んでいる」といわれる北陸、能登半島。
寺の影響力の強い町で、18年間、東野よし子さんが自宅へ親鸞会講師を招待し続けたのは、無信心住職の心無い一言が発端だった。

農家が100軒余りの集落で、東野さんは、家庭法話を開催してきた。
仏法に関心を持ったのは小学生のころだったという。
「とろとろと火が燃える囲炉裏端で、母が地獄の話をして、『阿弥陀仏だけが救ってくださるがやぞ』と言ったことを今も忘れません」
小学校の行き帰りに暗唱した『御文章』には、「信心決定を急げ」と至るところに教えられている。
「その要が聞きたい」と思ったが、寺では数十年、「念仏さえ称えていればいい」という話ばかりであった。
昭和61年、知人に誘われ、高森顕徹先生のご法話に参詣し、称える念仏に自力と他力の違いがあることを初めて知る。
「自力の念仏ではだめだ。早く他力の念仏を称える身にならなければ、後生は一大事だ」
と、富山の親鸞会館や、公民館で開かれる親鸞会の講演会に参詣するようになったのである。
大雪が縁に
山村の公民館は、普段あまり使われないため、毎回の掃除が大変。加えて、冬には一面、雪で覆われる。
ある大雪の日、公民館の雪かきで難儀している親鸞会講師の力になりたいと思い、家庭法話を始めることにした。
自宅なら、自分が雪かきすればいい。
一人暮らしの身には大変だが、わが家が聞法道場になると思えば、それも喜びだった。
幼いころ、よく在家の法話に参詣したことを思い出し、「私の家でもご説法をしてくださらんかな」と、ずっと思っていたのだという。
苦労のかいあって、親鸞会会員以外でも多数参詣するようになった。すると盛況をねたんでか、
「親鸞会の話を聞いてどうする。寺をつぶす気か」と、陰で言う者も現れた。
しかし、住職は、報恩講だからとやってきても、勤行だけで帰ってしまう。
「今日は息子も来ています。一言なりと、報恩講の意味を話してください」
と頼んだら、
「そのうち分かるでしょう」で済まされた。
親鸞会の講師は、重い荷物を持ち、雪まみれで歩いて来て、親鸞聖人のみ教えを熱心に叫んでくださるのに……。
「誰が何と言っても、この道しかない」
と心を定め、逆風の中、法灯を護ってきたのである。
12月7日、鉛色の空にそぼ降る雨を突いて、法友が三々五々、集まり始めた。
仏間と台所を忙しく駆け回る東野さんが、玄関で歓声をあげた。
近所の島田さんが初めて参詣したからだ。
「町の健康センターで仲良くなってから、ずっと、聞いてほしいと思っていたんです」
と、思わず相好を崩す。
『正信偈』についてのビデオご法話を聴聞し、島田さんも、
「こんなお話、寺では聞けないわ」と喜ぶ。
この地域を担当する親鸞会の講師は、
「皆さん、『正信偈』を丸暗記しておられる熱心な方ばかり。『意味が分からないから知りたい』と続けて聞かれます」と語る。
参詣者の平均年齢は、80歳を超え、この日、85歳になった東野さんの”先輩”もチラホラ。皆、元気いっぱい雨合羽姿で、手押し車や自転車で参詣する。
「元気の秘訣は、やっぱり仏法だね」の声に一同、笑顔でうなずいた。
(プライバシー保護のため、仮名にしてあります)
写真:石川県観光ライブラリー
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