2009 年 8 月 2 日

ガダルカナル・兵士たちの証言「死は鴻毛よりも軽くない」

カテゴリー: 日記 — sukeroku @ 10:58 PM

話題になったテレビ番組をたまたま見ていましたので、少しここに書いておきます。

先週金曜日(7月31日)夜、NHK総合で『語れなかった記憶 ガダルカナル・兵士たちの証言』という番組がありました。
これは東海北陸版の番組でしたので、全国放送ではありませんでした。

題名の通り、太平洋戦争中のガダルカナル戦から帰還し、現在も生きておられる元兵士の証言を集めた番組。
名古屋歩兵228連隊が派兵されたので、生存者も名古屋近郊におられ、NHK名古屋放送局が作成したものです。

228連隊で現在生き残っておられる方は十数名。
その中で数名の方が番組に登場していましたが、22歳で中隊長として出征し、ガダルカナルで多くの部下を失った方の証言では、陸軍士官学校で徹底的に教えられたことが
「義は山岳よりも高く、死は鴻毛(こうもう)よりも軽し」
つまり「国のために命を捨てよ」ということでした。

しかし、ガダルカナルでは、圧倒的兵力で攻撃してくるアメリカ軍に対し、日本軍は日露戦争以来使っている三八式歩兵銃で立ち向かうので、その優劣は明らか。

元衛生兵の証言では、「弾薬どころか、医薬品も全くなかった」とのこと。
「包帯も何もない。傷口にウジがわいても、そこらへんの水で洗うしかなかったし、『がんばれ』と声をかけるしかなかった」という最悪の状態。

更に、第3次ソロモン海戦により、3万人分の食料を摘んだ補給船が壊滅的打撃を受け、ガダルカナル島は一気に「餓島」と呼ばれる事態に。
名古屋歩兵228連隊が上陸してから1ヶ月あまり経つと、1日に50人の餓死者を出していたという。

そして、元兵士の証言です。

うごけないから、兵士のまわりにハエがたかる。そのハエをたたいて、食ったのだから。
……ああいうのを餓鬼って言うんじゃないか」

そして、飢餓と死に対する恐怖から、兵士は理性を失っていき……

「狙いを定めて、ボーンと撃ってね、敵さんが倒れるとね、死体を引きずってきて、みんなで処置して、焼いて食べちゃったね。……今考えると、なんであんなことができたんかね」

正に、餓島は極限状態にありました。

番組は、この後撤退の話になるのですが、そこは省略しますが、先に登場した元中隊長は、戦場であることを知らされます。
「死は鴻毛よりも軽くない」
そして、撤退行軍中、歩くこともままならない兵士に「命よりも大切な銃」を捨てよと命令したそうです。

想像を絶する状況だった訳ですが、今から六十年前、日本人が実際に体験したことであったことには違いありません。

1件のコメント »

  1. この番組、録画していたら貸していただけませんか? もちろんお礼はさせていただきます。ご連絡待ってます。

    コメント by 白虎 — 2011 年 1 月 1 日 @ 7:55 PM

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