学生座談会|親鸞会 会員の声

「生きる目的」を知らされた大学生たちは、どんな勉強をし、社会に役立とうとしているのでしょうか。
8名の若者が、お互いの夢を語り合いました。(名前は仮名)

大学での勉強は?

━━日々の授業で、どんなことを感じていますか。

草野「私は文学部で日本文学を専攻しています。心に残っているのは、クリスチャンであった国木田独歩の小説です。 『自分は死ねばどうなるのか。これ1つ知りたい。そのためなら、私はどんな代償でも払う』などと語る作品がいくつかあります。独歩が親鸞聖人の教えに出遇っていたら……と思います」

吉田「私は大学院で化学を専攻し、医療系材料の研究開発をしています。

 ナイロンを発明したカロザースは、大学の授業でおなじみです。研究で実績を上げ、地位も名誉も財産も手に入れ、やりたい放題であったはずの彼が、若くして自殺しました。その姿は多くの科学者の人生に影を落しています。『科学の発展=人類の幸せ』ではないと、うすうす感じてはいても、それ以上考えずに研究しているのが多くの科学者の実態でしょう」

山本「レスキュー(救助)ロボットの実現に向けて研究中です。

 地震で倒壊した家から人を見つけ出したり、救出時の障害物を壊したり、救助を求める人を広域で探したり、役割はさまざまです。
 地震の時とは限らず、アメリカで起きた同時多発テロによるビルの倒壊現場や、今年で言えば、JR尼崎の事故などでも、ロボットの活躍が期待されています。

 世界で望まれているのは、『地雷や不発弾撤去のためのロボット』や『月や火星でも活動するロボット』ですね。
 どういう状況で、どんなロボットが役立つか、コンピューター・グラフィックスでシミュレーション(模擬実験)をし、データを集めています。日本のロボットは、世界でもトップクラスです。平成17年7月にロボカップという世界的な競技大会がありました。人間ロボットのサッカー大会では、大阪のチームが、レスキューのロボット部門では、横浜のチームがそれぞれ2年連続優勝しました」

栗

━━興味深いですね。

山本「でも問題もあります。ロボットに何でもやらせて、生活上の労苦が減れば、『私自身はいったい何をすべきか』、知りたくなるでしょう?しかし、それが分からなかったら、生きる気力を失ってしまうかもしれません。

 また、ロボットに救助された人は、『その命で何をするか』、考えますよね。
しかし、『命が延びても苦しいだけだった』となれば、「ロボットに助けられた命の意味は何なのか」と疑問が起きるのではないでしょうか。

 ロボットを造ることによって、結局のところ人間とは何かが問われる時代になると思います。生きる目的を知らないと『ロボットが人間を幸せにする』という錯覚に陥り、『ロボットさえ造っていればいい』ということになって、結局、自分も他人も本当の幸せを知らぬまま終わってしまうでしょう」

中村「私は、大学院の博士課程で、生物の研究をしています。

 研究室の先輩が論文を投稿しようとするとライバルに止められたり、事実でないデータをでっち上げ、功名を立てようとする人もいます。清潔なイメージの科学の世界でも、名誉欲が渦巻いています」

石田「そうですね。私も大学院で、ナノテクノロジー(微細な単位で加工・計測を行う超精密技術)の基礎研究をしていますが、同じことを感じます。科学は、人類を幸せにするために存在するはずですが、研究者の最大の関心事は、自分の成果をだれよりも早く論文誌に投稿することになってしまっています」

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