夢は熱血先生|親鸞会.NET

元応援団、夢はゴクセンこえる熱血教師!

親鸞会 特集

「将来、高校教師になるつもりです。自分の経験を生かし、大切なメッセージを生徒たちに伝えられるようになりたいんです」。

そう語る緒方浩治さん(仮名)は、来春から大学院へ進み、荒廃が叫ばれる教育界へ大きな使命感を持って飛び込もうとしている。



小学生の時から英語塾に通い、サッカーや水泳、ピアノもこなし、多才ぶりを発揮した。「やるからには全力で取組まないと気が済まなくて」
中高一貫の私立学校に進んでからは徹底的に勉強し、成績は常にトップクラス。放課後も一人教室に残って机に向かう。毎日すべての教科書を持ち帰って予習復習、通学電車でも単語帳を開いた。
最初は医学部を目指していたが、物理の先生が熱心に教えている姿に感銘を受け、
〈人に何かを教えるのっていいなあ。教師になりたい〉。
新たな夢へと歩み始めた。

勉強に精を出すかたわら、音楽祭ではロックバンドのボーカル、学園祭では劇の主役に抜擢される。ショパンが大好きで、ピアノをよく弾いていた緒方さんは、高2の秋、社会人オーケストラに入団し、今度はバイオリンを始めた。2カ月でコンサートメンバーにも選ばれた。


完全燃焼の体育祭

何より熱中したのは「応援団」だった。太鼓の音に合わせ、空手の型や棒術などを披露し、白軍、紅軍、青軍に分かれて9月の体育祭の応援合戦で競う。
緒方さんは白軍で、高校3年最後の夏、応援団をまとめる立場になる。難しい型への挑戦、見せ場の演出やラストの締め方等、他校の演舞をビデオで見て研究。放課後のリハーサルは夜10時まで続き、直前には早朝練習も加わった。
当日、大歓声の中、応援合戦が始まる。
ドン、ドン----。和太鼓の音がとどろき、一糸乱れぬ演舞を次々と披露していく。クライマックスのワッショイ節では観客も一緒に大合唱となった。その声は、白い特攻服を着て最前列で演舞する緒方さんの胸にも響いた。
すべての競技が終了した夕方、「白軍の優勝です」。
ウオー!団員たちは拳を天に向けて突き上げ、抱き合って喜んだ。やがて緒方さんの元に皆が集まり、胴上げされた。1回、2回、3回……。高校時代最高のシーン、どの顔も輝いていた。

一夜明けて、グラウンドで後片付けを始める。テントを畳みながら言葉にならないむなしさに襲われていた。
〈あんなに盛り上がっていたのに、もう冷めている。一生懸命頑張って結果を出しても満たされない。教師の道だって同じではないのかな〉
そんな疑問が頭をもたげた。

〈こんな心のまま、どこへ行って何をしても、心からの満足はありえないのではないか〉

と思うと、将来の光が消えてしまいそうになる。

〈ある程度まで生きて、自ら人生の幕を下ろしたほうがいいのかもしれない……〉
友人は楽しく生きているように見えて、だれにも相談できなかった。


人生の大歓喜

翌春、筑波大学に合格した緒方さんは、親鸞聖人の教えを説く先輩に出会った。
『教行信証』の

「噫、弘誓の強縁は多生にも値いがたく、真実の浄信は億劫にも獲がたし。
  遇行信を獲ば遠く宿縁を慶べ」

というお言葉に、こんな喜びが人生にあったのかと驚いた。

「自分の命は、とてつもない、多生の目的をもって生まれてきたのだと親鸞聖人から教えていただきました。何をやっても満足できず、人生設計が描けなかったのは、根本に、なぜ生きるのか、人生の目的が抜けていたからだと気づいたんです」



今、教育界では、学ぶ意欲のない学生の増加が指摘されている。「偏差値のみで進路指導するのではなく、生徒はどんな仕事に興味があるのか、学んでいることがどう生かされていくのか、対話できてこそ、本来の教師だといわれています。しかし私の場合、『どんな仕事をするために学ぶのか』ではなく、その先の『働いて生きるのは何のためか』が分からなかったんです。自分と同じような疑問を抱いている生徒に、生きる意味を伝え、サポートしていきたいと思います」

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