私が世界を旅した理由|親鸞会

インスピレーション

結局トルコでは、何もつかめなかった。この先のヨーロッパではどうだろう。美しい街並みを見ながら、美術館を巡る旅になる。ここには世界の名画や名高い彫刻が集中している。芸術家が生涯かけて手掛けたものならば、そこから何か、インスピレーションを感じ取れるかもしれない。期待を胸に、オランダ、ベルギー、ドイツ、オーストリア、チェコ、ハンガリー、スペインと回っていった。

オランダの国立美術館ではレンブラントの『夜警』、ベルギーではノートルダム大聖堂に掲げられているルーベンスの絵、ドイツでは、おとぎ話に出てきそうな白亜のノイシュバンシュタイン城、オーストリアでは金箔をあしらったグスタフ・クリムトの『接吻』、ハンガリーでは、ドナウ河畔の国会議事堂、スペインでは、ガウディの建築物や、世界屈指の美の殿堂・プラド美術館でベラスケスの『ラス・メニーナス』の絵を見た。


左:ノイシュバンシュタイン城(ドイツ) 右:国会議事堂(ハンガリー)

芸術作品の前では常に、何かを感じたいと必死になっていた。しかし、きれいだとか荘厳だという思いはわき上がっても、それ以上のものを感じることができなかった。絵と対話できない。それは自分が凡庸な人間だからなのか?受け取る感覚が麻痺しているからか?それともここには私が求めているものが、そもそもないのか?分からない。いらだちさえ感じた。この先何を見ても何も感じられないのではないかという気がしてくる。



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