虚無の果てに出会った仏法|親鸞会

平井晋一さん(仮名)

「仏法を聞く、伝える。それが今うれしくてたまらないんです」。ためらいなくそう言う平井さんは、親鸞聖人の教えに出遇えた喜びを、型破りだった半生を通して話してくれた。


面白いことを思い切り なぜ空しい?

「平凡なのが嫌で、何か人と違うことをせずにいられませんでした」

高校時代、平井さんはロックバンドを結成、派手なパフォーマンスが注目を集めた。高校生ながら自主制作のCDが3000枚も売れ、スカウトマンからも本気でプロ入りを勧められたほどである。アマチュア・ライブコンサートでは、他のバンドを完全に圧倒していた。

 平井さんのバンドの紹介が始まると、司会が言い終わらぬうちに、「キャーッ!」という大歓声。演奏が始まると観客は総立ちとなった。耳をつんざくギターに、地響きのするベースとドラム。ボーカルの平井さんが全身で叫ぶと、「シン!(平井さんの愛称)」と一斉に声援が飛ぶ。演奏が最高潮を迎えた瞬間、シンは大胆にも、観客席へ飛び込んだ……。

「今日のライブ、最高だったよ」

楽屋へ戻るとスタッフたちが肩をたたいた。緊張が一気に解け、達成感に浸った。出口には何十人ものファンが花束を持って待っている。スターのようにファンを連れて繁華街へ繰り出した。

だが大騒ぎが終われば、三々五々帰途に就く。「じゃあな……」と、最後の1人と別れると、高揚感が潮が引くように消えていった。

「騒いでいると忘れるけれど、1人になるとポカッと心に穴が開く。どうしてだろう?ってよく思いました」

有名なロックミュージシャンがことごとく、酒やドラッグにおぼれていくのが分かるような気がした。「彼らのようにはなりたくない……」。プロになってまでこの道を進む気にはなれなかった。
やがて仲間も大学進学など、それぞれの道を歩みだし、バンドは自然に消滅した。


>>>大学へ、そしてホスト、ギャンブル>>

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