姿にかけて、生きる喜びを
窓を開ければ桜色。まぶしい光を感じたら、ついつい歩きだしたくなりますね。そんな春は、希望に燃える青年たちの季節。仏縁深き若者たちが、満を持して社会へ飛び立ちます。
ぐーんと羽ばたけ、世界は親鸞聖人の教えを待っている。
ご恩を忘れぬ人間に
「お世話になった方へ親鸞学徒らしいお礼がしたかったんです」。大学を卒業し、地元で就職した、内川正晴さん(仮名)は、寮母さんや掃除のおばさんなどに、高森先生の著書をプレゼントした。
アルバイト先のファーストフード店の店長に渡したときは、
「ここまでしてくれる学生はなかった」と目を丸くされた。
寮食の調理師さんたちにプレゼントすると、引っ越しの朝、食事に呼ばれ、
「りっぱになりなさい。いつでも遊びに来なさい」と激励された。
「気がついたら渡したのは、19人になっていました。恩を忘れない人間でありたいと思います」
「元気がいいね」「因果の道理を知って変わったんです」
内定者懇親会で挨拶を褒められたのは、梅本孝行さん(仮名)だ。会場の入り口で、
「よろしくお願いします」
と言うと、一瞬静まりかえった。後で人事の人から、
「他の人は会釈する程度だったけど、きみは元気がいいね」と肩をたたかれた。
「もともと内気で挨拶が苦手でした。因果の道理を知って変わったんです」とさわやかに答える。
乳製品を扱う会社の研究職に就いた原田悟さん(仮名)は、
「人生の目的を果たすためには健康は何より大切です。添加物などの少ない食品を開発し、皆さんの健康をサポートしたいと思っています」。
川原有紀さん(仮名)は、学生時代を振り返る。
「以前、公務員試験に落ちた時、受験勉強の苦労が水の泡になったように思いました。でも、業力不滅の話を聞いて、まいた種は必ず生える、報われない努力は一つもないと知らされ、どんな事態になっても常に、光に向かって前向きに生きていこうと、心が変わったんです」
「仏教で約束を守る大切さを教えていただいたので」
教員となった松田薫さん(仮名)は、着任早々、クラスを担当することになった。
「教育実習での経験ですが、忙しい時に、『先生、絵かいたの見てー』と来ると、つい『後でね』と言ってしまいます。ところが後で見られないと、『約束したのに』と、子供は心を閉ざしてしまうのです。仏教で約束を守る大切さを教えていただいてきたので、親鸞学徒として、この点はゆるがせにしたくないですね」
また、養護教諭として私立幼稚園に勤務する、八木修助さん(仮名)。
「学生時代に、『苦しんでいる者にほど、仏の慈悲はかかっている』のお言葉に感動しました。悩みを多く抱える子に、寄り添いたいと、選んだのが保健室の先生の仕事です。子供たちの話を親身に聞き、小さい魂に奮発心を起こさせる話をして励ましたいと思います」
営業は和顔愛語の実践の場、と張り切るのは、輸入雑貨の商社で研修中の今村紀夫未さん(仮名)です。「仏法を伝えるためにも大事な会話力を鍛えたい」
病院職員、高山洋一さん(仮名)も「優しい笑顔、温かい言葉を常に忘れず、痛みや不安を抱える患者さんが少しでもホッとできるような応対をしていきます」と語る。
若鷲たちは今、春風に乗って旅立とうとしている。