2009/02/27
私の「おくりびと」体験
映画『おくりびと』が、アカデミー賞を受賞しました。
滝田監督も、原作者の作家・青木新門さんも富山県の人、ということで、富山ではひときわ、明るいニュースとなっています。
いろんな話題が語られていると思いますので、私の「おくりびと」体験を紹介します。
私は8年前に父を亡くした時、実際に納棺師のお世話になりました。
葬儀を取り仕切る会社の社員として、その人は通夜の前日、わが家にやってきました。(原作者が勤めていたのと、同じ会社と思われます)
布団に横たわる父と、その後ろに家族が控える仏間で、枕経といわれる『仏説阿弥陀経』の読経があり、いよいよ、葬儀会場へ父を運ぶ時、その人は正装し、父の横に座ったのです。
その時初めて、
「ああ、この人が納棺師もするんだ……」と分かりました。
簡単な下着しかつけていない父に、白装束を着せるのが、その人の仕事でした。
布団を掛けたまま、みっともない格好をさらさぬよう、寝たままの父に装束を着せるのです。
11月だというのに、その人は父の左右を行き来し、一人で体を持ち上げながら、汗びっしょりで務めてくれました。
遺族は黙ってじっと、その様子を、厳粛な思いを抱きながら、見ておりました。
最後に掛け布団をめくった時、しわ一つも見られないほど、父はきれいに装束を着せてもらっており、私は感動さえ覚えました。
次に、皆で協力して、棺桶に入れます。
父の頭と首を持った私は、ぞくぞくっとしました。
「死んだ人はこんなにも冷たいのか……!」
納棺師は、そんな冷たい遺体のみならず、時には腐乱している遺体にも向き合うようです。
そして父は、葬儀会場へ運ばれていきました。
通夜や葬儀でその人は、今度は司会者を務めていました。
遺族の私たちは、その人に、一生懸命やってくれていてありがたいと思いました。
でも、その人が特別なのではないようです。
その会社では、社員は皆、納棺師の訓練を受けるようでした。
映画では、納棺夫の仕事を始めた夫を、妻が「汚らわしい」と拒絶する場面があるようです。
死は汚らわしいものだと思ってのことでしょう。
今、『おくりびと』の快挙で、納棺師を希望する人が激増していると聞きます。
だれでも必ず迎える死。忌み嫌っても、詮無いことです。
父は一体どこへ行ったのか、人は死んだらどうなるのでしょう。
私が「おくられびと」になる前に、弥陀の本願を聞き抜き、いつ死んでも浄土往生間違いない身に救われなければなりません。
(I)
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